釣りを知らない初心者の方が釣りを始めるのに、「イカを釣りたい!」という方は少ないのではないかと思います。
でもここ数年の釣りの流行風潮と本屋さんなどでも見かける釣り雑誌の定着具合からすると、「エギング」という釣り方の名前や「アオリ」というイカの種類などを雑誌名や表題としてある書籍が数多くあります。
少し興味があれば真っ先に雑誌を手にしてエギングを知った方も多いのかもしれません。釣具屋さんでも専用コーナーが必ずと言っていいほど設置してあるので、情報を得たり道具の揃えやすさからいうと初心者が始めやすい釣りジャンルでもあるでしょう。
ただちょっと私が心配しているのは、釣りメーカーさんや釣具屋さんが特に初心者の購買意欲ばかり煽りすぎたため、実際やってみると思ったように釣れなくて釣りをやめてしまったり、ファッション性ばかり宣伝したために飽きられたりしていないかということです。
実際イカ釣りは楽しい釣りですし、これまでの釣りメーカーさんや釣具屋さんの宣伝努力により釣りジャンルを超えた釣りに進化して楽しめる釣りになったことも事実です。
ただし釣りとして手軽に始められるということに関しては、「簡単に始められること」が先行しすぎている感があります。服装や釣りに使う道具をお洒落に揃えても、釣れない事にはその楽しさを理解できないことは容易に想像できます。
どんな釣りもそうですが、ちゃんと釣れるようになるまでには個人差があります。他の釣りでは最初から「簡単には釣れないだろう」という意識があるかと思うんですが、イカ釣りに関しては「どこでも簡単に釣れる」みたいな意識から始める人が多いような気がします。
イカ釣りを「釣り」としてしっかりと知り、プラスアルファで楽しむことができれば、本当に楽しい釣りであることを皆さんにお伝えできればと思っています。
イカ釣りの魅力と代表的な2つの釣り方
イカ釣りの魅力は、水中での様子をイメージして釣りをすることにあります。それはイカの生態によるもので、海の中の様子をイメージしやすく期待感が大きいということで、イカの代表的な2つの釣り方である「エギング」「ヤエン」釣りの両方にも共通です。
イカの生態をイメージ出来るようになるためには、この記事と別記事のヤエン釣りに関する記事を読んで頂ければかなり参考にして頂けると思いますが、ここで先に、記事を読み進め易いようにエギングとヤエン釣りについて簡単に説明しておきます。
- エギングとは
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この記事で詳しく紹介していきますが、エギ(餌木)という疑似餌(ルアー)を竿を振る動作によりイカが餌と間違えるように誘って釣る釣り方
ルアーを操作することによって伝わってくる感覚により海の中の地形や障害物を把握し、イカがそこに居るというイメージを働かせてルアーを操作して釣るのが最大の面白さ。
- ヤエン釣りとは
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疑似餌で釣るエギングに対し、生きたアジを餌として釣る釣り方
イカが餌のアジを食べようと抱きつくと、「ジッッーー!」というようなリールから糸が出ていく音が鳴ってアドレナリンが分泌されるような興奮が味わえる。
生きたアジを餌として泳がせているため、アジが元気だったり、何かから逃げているような時は、イカが掛かったかのようにリールが鳴るため色々なイメージが湧いて常に期待感がある。
スリリングなイカとの駆け引き!イカを騙し通せるかが勝負のヤエン釣り! | Fisherman’s Horizon アオリイカのヤエン釣りについて初心者の方向けに解説しています。道具や仕掛についてはもちろんの事、この釣りの醍醐味でもあるイカとの駆け引きについて、ヤエン釣りをや…
それにプラスして、エギングはファッションや使う道具がお洒落だったりするので、女性や比較的若い世代に人気の釣りです。ちなみに「エギ」とは「餌木」からきており、古来からの疑似餌釣法を現代のルアーに進化させたものです。
ヤエン釣りは、水中のイメージ(イカが餌であるアジを狙っている様子を想像する期待感)にプラスしてイカとの駆け引きが醍醐味な釣りです。
別記事で詳しく説明していますが、イカが餌を食べるために抱きついてからのイカとのやりとりが非常にスリリングな釣り方です。
いずれの釣りも細かな知識やテクニックがあれば、より多くのイカが釣れるといったことがあるものの逆に言うこともでき、良い道具・テクニック・知識がなくても警戒心の低いイカがそこに居れば、誰でも簡単に釣ることが出来るのも魅力の一つと言えます。
またエギングとヤエン釣りには住み分けのようなものがあって、何故かエギングをする釣人が多い場所ではエギングの方がよく釣れ、生きたアジを餌とするヤエン釣りがメインの釣場では、イカはルアーにあまりいい反応を示さないことが多いです。
このようなことから、雑誌などの情報に過度に期待してエギングを始めてもなかなかイカが釣れなかったり、イカが居そうな場所でヤエン釣りをしても餌ばかり消費したり、海藻や海中の障害物にルアーが引っ掛かってしまってばかりで、とても釣れる気がしなくなったりということになりかねません。
釣りは時期、場所、海の環境で釣れるか釣れないかが決まると言っても過言ではありません。イカも同じです。正しい認識のもとイカ釣りを始めることで、イカ釣りの魅力である期待感やイカとの駆け引きとプラスアルファであるファッション性を楽しみましょう。
ターゲットとなるイカの種類と特徴
釣りの対象となるイカには色々な種類がありますが、有名なスルメイカなどは水深のある沖合に生息するため船釣りでのターゲットですし、沿岸ではヒイカ(ホタルイカほどの小さなイカ)を極小サイズのルアーで狙う釣りもあります。
それはそれで面白いのですが一般的にターゲットとなるのは「アオリイカ」という種類のイカになります。
アオリイカ
アオリイカは、いいサイズだと胴体長が30~40cm、足先までの全長は1m弱になり、重さは平均1kg前後、大きなものだと2~3kgにまでなります。一部、和歌山県で釣れるアカイカ系アオリイカだと足先まで入れた全長は2m前後、重さも4kgを超える怪物サイズの種類もあります。
和歌山県新宮市の某釣具屋さんへ行けば、怪物の魚拓(イカも魚拓になります)が沢山貼ってあるので見るだけでも楽しいですよ。
一般的なアオリイカは、春に沿岸や湾内に入って来て、ある種類の海藻に卵を産み付けることから「モイカ(藻イカ)」とも呼ばれます。
アオリイカは群れで行動して泳いでおり沿岸部に寄って交尾、産卵を終えると再び群れで泳いで沖合の海へと帰っていきます。
産卵された卵は秋に孵化し、ある程度の大きさに育つと沖へと離れていきます。1年で親くらいの大きさになり帰ってくると言われていますが、この説には色々とあるようです。
アオリイカは一般的に夜行性であり、特に夜間に長い距離を移動する言われていますが、シーズンに入ると昼夜を問わず釣れるようになります。
特に満潮と干潮の変化の前後、朝マズメと言われる日の出前からの数時間と夕(ゆう)マズメと言われれる日没前からの数時間はイカの活性が上がって、釣れる確率が大きくなるタイミングになります。
コウイカ(スミイカ)
アオリイカを狙って釣りをしていると、コウイカという種類のイカも釣れます。アオリイカに比べてあまり泳がず、縄張りを持って定着する性質があるイカなので、エギングでもヤエン釣りでも海の底を狙っていた場合などによく釣れます。
アオリイカの骨は薄く柔らかいものであることに対し、コウイカの骨は胴体前面を全て保護するような硬い「甲羅」のような骨であるため「甲イカ」と言われています。
アオリイカは寿司屋さんなどでは高級魚扱いの美味さがあるのですが、人によってはこのコウイカを食べる方が好きという釣人もいるほどで、狙ったイカでなくても釣れれば有り難いイカではあります。
ただし、このコウイカは別名「スミ(墨)イカ」と呼ばれるほど吐き出す「イカ墨」の量が大量で、しかも釣り上げた瞬間や、針を外す釣り人に丁度いいタイミングで浴びせるように墨を吐くので注意が必要です。
大抵の釣り人は一度はその洗礼を受けていますが、私も例外なく針を外そうとしたところに洗礼を受けました(笑)
その他、アオリイカを狙っているのに釣れてしまう獲物としてはタコなどもよく掛かります。タコが餌に掛かってしまうと海底に張り付いて剥がれません。
海底に張り付いたタコを剥がすのは時間が掛かりますし、力ずくで上げようとすると、釣竿が折れてしまったりという最悪の事態にもなり、私は来てほしくないと思っている獲物です。
イカが釣れる場所
アオリイカは藻がある場所に群れで泳いできます。よって卵を産み付けられる海藻が多くある場所や、群れで泳いでくる通り道で釣れます。
外海に面した漁港や磯などが主なポイントになりますが、アオリイカは活発に泳いで餌となるアジなどの小魚の群れを追っていることもあるので、アジなどが釣れている所ではアオリイカも釣れる期待が出来ます。
ただし同じ小魚の群れをアオリイカの天敵であるシーバスやハマチなどが追ってくるとアオリイカは警戒してしまうので釣れなくなったり、その釣場へ近づいて来なくなったりということもあります。
どこでも釣れる可能性はあるのですが、具体的な釣り場所としては次のようになります。
漁港、堤防、船着き場
足場が良く、釣りやすい。またイカが釣れた実績があるかどうかは足元に残っている墨跡などで判別しやすい。ただし、その日に釣れるポイントが同じ漁港や堤防であっても日々変わるので、自分は釣れていないのに後から空いている場所に入った人が爆釣するなどということも良くある。
磯
釣り新聞、釣り雑誌などで有名な場所の情報が得られやすい。ただし、足場が悪く落水等の危険が伴うので救命胴衣の装着などのしっかりとした準備が必要。また釣場は分かっていてもピンポイントでの釣れる場所は自分で探る必要があるため、期待した釣果が得られない場合がある。(ポイントが数mずれると全く釣れないことも良くあることです。)
海岸(砂浜を含む。)
釣り難さから主な釣りポイントにはならないが、一時期流行したこともあるほど穴場ではある。固定概念に囚われずに探ってみる価値はある。写真は内海海岸ですが、外海海岸でのヤエン釣りは、波の影響で泳いでいるアジが海岸に押し戻されてしまうので難しいでしょう。
アクティブに楽しむエギング
まずは「エギングとは何ぞや?」という方もおられるかと思いますので、その説明から。
エギングとは
エギングとは、餌木(エギ)というエビのような形をしたルアーでイカを誘って釣る釣りです。
釣場の海底の地形や海藻、障害物の位置や形状を想像しながら竿を振ってルアーを投げ、狙った水深まで沈めてから竿を振ることで、イカを誘う動作をルアーに与えます。
イカを誘う動作の代表的なものが、釣竿を大きく縦に振って水中のルアーに跳ね上るような動作をさせるものです。
跳ね上がらせたらまた数秒かぞえてルアーを沈め、また大きく竿を振ってルアー跳ね上げる。これをルアーが自分の所に返ってくるまで繰り返してイカを誘うのが基本です。
これはルアーの存在を周囲にいるイカにアピールするもので、食欲のあるイカが居ればこの動作で敏感に反応してルアーに寄ってきますし、食欲があまりないイカや警戒心の強いイカでも餌を捕らえようという気にさせる効果があると言われています。
イカの食欲が旺盛だと近くに返ってきたルアーをイカが追ってくるのを自分の目で見ることが出来ます。偏光サングラスを掛けていると更によく見えますよ。
イカを誘う動作によってイカが釣れない場合、ルアーを投げたまま放置することもあります。特に大型のイカは警戒心が強いことと、餌を他のイカに横取りされない自信があることから餌を捕らえたその場からあまり動かないで食べる傾向があります。
このようなイカには1~2回、竿を大きく振ってルアーの存在をアピールした後は、ルアーを動かさないで放置。ゆるくたわむ程度に張った釣り糸を見ていると、たわみがなくなって真っ直ぐに張っているか、逆に更に緩くたわんでいたらイカが抱き付いている可能性があります。
ただしこのやり方はタコがルアーに食いつく可能性が格段に上がるので、タコ嫌いにはおすすめできません(笑)
エギングに使う釣り道具
エギングを始めるには専用の釣り道具が必要になります。細かな物はある程度詳しく知った上で改めて情報収集する必要がありますが、ここでは概要を紹介します。
エギングに使用する釣り竿
エギングに使う釣竿にはエギングロッドという専用のものがあり、全体に硬めで長時間竿を振りやすいように軽く、また使うサイズのルアーの重さに応じた硬さに調整されているため、専用の釣竿が絶対に必要です。
他の釣竿でも代用は可能ですが、長時間の釣行で重い竿を振り続けるのは腱鞘炎になるなど肉体的にも厳しいため、専用の釣り竿は必ず準備しましょう。
リールに巻く釣り糸
エギは厳密にはルアーとは言いません。なぜならルアーはある程度そのもの自体が泳いだり、音や波紋などで魚を誘う動作を勝手にしてくれるものなんです。
これに対してエギは完全に竿で動作をつけてやらないと動きがないものであることから、エギはエギであり、強いて言えばイカ釣り専用のルアーと言えます。(一部特殊な商品を除きます。)
そしてエギというルアーに動作をつける必要から、ロッドは硬く、糸は伸びが少ないものが適しています。そのためエギングではPEという素材の糸またはその派生品を使用するのが一般的です。
ショックリーダー
伸びの少ないPE系の糸がリールに巻いてある場合は必ず衝撃を吸収する役目を持つ、つなぎの糸が必要です。
リールに巻いてある糸が藻に擦れたりして劣化するのを防止するほか、イカが掛かった時に行う、「アワセ」という竿を強く振って針を確実に掛ける動作をした時の糸切れやイカの身が切れて逃げられる事を防ぐ目的があります。
エギ
サイズ
- 春シーズン(3月~6月)
産卵のため沿岸寄りした親イカを狙います。最大1.5kg~2.0kgくらいのイカがターゲットである場合は、3.5号サイズのルアーを使用します。
4号や4.5号が効果があるような雑誌の記事もありましたが、あまり信憑性はないと思います。大抵のイカは3.5号サイズが適していますし、4号でないと釣れないなんてことはありませんから。 - 秋シーズン(9月~10月)
卵から孵化した子イカがコロッケサイズ程度に成長したものを狙います。このため、ルアーのサイズは2.5号~3.0号くらいの少し小さめのサイズを使うのが一般的ですが、その好奇心の強さから春イカと同じ3.5号サイズのルアーでも釣れることが良くあります。
色
色は、はっきり言って好みだと私は思います。プロの記事を読んでいると色の使い分けやカラーローテーションという、”最初に投げる色はコレ、次に投げる色はコレ、反応がなければこの色”などの探りの入れ方がよく書かれています。
確かに釣れる実績がある色はあるでしょうが、自分が「釣れる気がする色」が一番です。好きな色のルアーで釣った実績ができれば、自分の色選択の優先順が自然と決まってきます。
私はあらゆる色を使いましたが、ほぼ同じ色で釣れています。(上の方に掲載してある写真の中にも写ってます(笑))この結果が「誰でも必ず釣れる色」とは言い切れませんし、「色は関係なく何色のルアーでも釣れる」とも言い切れません。
ただ私にとっては「雑誌等でよく紹介されている色とは違う色のルアーで釣れた実績がある」ということから、その色を使っているといつでも釣れる期待感があるという事が大切という事だけは言い切れます。
こだわる方はこだわった方が楽しいですし、釣れない時は色を変えたり、製造会社の違うルアーにすることでモチベーションも維持できるので、数種類は用意しておいても良いかもしれません。
重さ
ルアーを販売している製造会社にもよりますが、ルアーが沈んでいく速度を重さで調節します。
ただ、ルアーを深く沈ませたいのであればノーマルの重さでも数える秒数を長くすればいいので余りルアーを使い分けなくても大丈夫です。
ただし、風が強いときや潮の流れが速い場合などは自分が狙ったところにルアーが到達する前に流されてしまうので、重いエギも用意しておくと対策になるし便利です。
また、投げたルアーを1~2度竿を振った後に放置するやり方を上の方で紹介しましたが、このやり方の時はルアーが海藻に引っ掛かりにくくする目的と、フワフワ感を出して演出する狙いから軽いルアーを使うのがお勧めです。
その他
釣ったイカの取り込み用に、ギャフ(魚体に直接引っ掛けて取り込むタイプ)か網を準備しましょう。
私はギャフを使っています。
鉤爪が収納された状態から展開するのに片手で操作出来るので、一人での取り込みや磯などでの足場の悪い場所などでとても便利です。
長さも数種類あるので自分の使いやすいものを持っていればいいかと思います。「大は小を兼ねる」で長過ぎるものを買ったら使い勝手が悪いので注意して下さい。
エギングの釣り方
釣り道具が揃ったら次は、具体的にどのようにしてイカを釣るのかを区切って説明します。
ルアーを投げる
まずは釣り竿を振って狙ったポイントへルアーを投げ落とします。エギングに限らず釣りに必須の動作なので、実践しながら上達しましょう。
ルアーに動作を付けてイカを誘う
ルアーに動作を付けてイカを誘うポイントは次の2つ
- エギが着水したら海底に到着するまで待つ。
- 海底に到着したら釣竿を大きく振り、水中のルアーを跳ね上げる。
1回目は海底に着底までの秒数を数えて水深を把握しましょう。糸から手に伝わってくる感覚を頼りに海底に到着した事を判断します。(分からない人もいますが心配する必要はありません。)
イカはルアーを見つけると、着水と同時に食ってきたり、ルアーが沈んでいく途中に食ってきます。イカが掛かることなくルアーが自分の位置まで返ってきたら、上記①②を繰り返します。
ルアーが水中の海藻などの障害物に引っ掛かるような事があれば、
- 同じ場所にルアーが行かないように投げ落とすポイントを変えたり、
- 1回目に数えた海底に到着するまでの時間を参考にし、海藻などの障害物に引っ掛からない所望の水深でルアーを跳ね上げるように竿を振って調整します。
フッキング(アワセ)
下の項目にある、イカが食ってきた兆候があれば、竿をやや大き目にグッと強く引く感じで「フッキング」をします。釣りの一般用語として「アワセ」とも言いますが、イカがルアーに抱きついた状態ですので、針をイカの身体にしっかりと掛けることを言います。
- 明らかにルアーが何かに引っ掛かった感触がある。
- 釣竿が急に(またはゆっくりと)重くなった。
- 糸がピンと張るかリールから糸が出ていく。
- 糸が不自然にたわんだり緩んだりした。
初心者は興奮して、上記の兆候があったら大声で「キタ━(゚∀゚)━!」とか言いながら大きな動作でアワセをし、空振りして恥ずかしい思いをすることがあります(笑)
実は私もフッキングのつもりで思いっきり大きく釣竿を振り、ルアーが海面から飛び出してきたことがあります。
とても恥ずかしいので「イカがきてるのかな?」と思ったら冷静に探りのアワセを入れることをお勧めしめす。探りのアワセとは、大きな動作で完全にフッキングするのではなく、手首をひねる程度の軽い動作でのフッキングのことです。
寄せ
掛かったイカを慎重にリールを巻いて寄せてきます。イカは力を振り絞って逃げようとしますので、無理に寄せようとすると糸が切れたり、イカの身が切れたりして逃げられます。
釣り竿のしなり具合とリールのドラグ調整(リールの糸がどのくらいの力で引っ張られたら出ていくかを調整する機構)を適切に調整します。釣りで一番興奮するひとときですね。
取り込み
網か上の方で紹介したギャフで取り込みます。周囲に釣り人が居れば間違いなく手伝ってくれます。自分ひとりの場合は、片手で釣竿を操作し、空いている手で網かギャフを使って取り込みますが、イカは網が見えると最後の力を振り絞って逃げようとしますのでギャフの方が圧倒的にやりやすいです。
締め
無事にイカを取り込んで陸に上げたら締めますが、写真を撮る時は締める前に撮りましょう。イカは締めると真っ白くなってしまいます。イカを締めるのには「イカ締めピック」というような専用のものがありますが、包丁などでも大丈夫です。
締め方にはコツがありますが、イカの目の上のやや内側2箇所をピックなどで刺すだけです。身体の半分ずつの神経を切るので、激しく変化している体色が神経を切った半分だけが真っ白になるので「締め」が上手く出来ているかどうかは直ぐに判断できます。
締めた後は冷えたクーラーボックスに収納しましょう。
エギングの利点
これはヤエン釣りに比較してという事になりますが、ヤエン釣りが餌釣りであり、釣り場所が固定的になる「待ち」の釣りであることに対して、エギングは「イカが居る所」「釣れている所」「釣り人が混んでいない所」を機動力を発揮しながら探る、積極的な釣りが可能です。
要は、ヤエン釣りに比べて必要な道具が少なく移動に支障がないという事です。この機動力を活かして、磯や足場の悪い堤防などのポイントを攻めることも可能です。
※救命胴衣の装着は必ずしましょう。また危険な場所、釣りが禁止されている場所での釣りは絶対にやめましょう。
イカ釣りのシーズン 春イカ釣りと秋イカ釣り
イカ釣りは一年中可能ですが、さすがにシーズン外はあまり釣れないので、通常はやらないでしょう。でもやっている人は一年を通してやっていて、ポツポツと釣れています。
春イカ釣り
3月頃から6月の梅雨までがピークです。ピーク時期より早くイカが寄ってくる場所があったり、年によっては1月や2月に大型のイカが多く釣れたという年もあります。
産卵のため岸に寄って来た親イカを狙うシーズンで、1kg前後を標準の大きさとし、2kg以上の大型が狙えるシーズンです。交尾・産卵前後はイカの食欲が旺盛で釣れる事が期待できますが、交尾・産卵中の個体に関しては、見えていても全く反応しなくなります。
食欲があり標準的な大きさのイカが掛かったら、明確に掛かった兆候があり、ルアーを安全な場所まで引っ張って行って食べようとします。
より大型のイカは周囲のイカを気にすることなく、餌を捕まえたその場で食べる事があるため、イカがルアーを捕らえた兆候を判別し難い傾向があります。
このためイカが居るのは分かっているのに釣果が出ない時は、ルアーを投げて放置する手法を取ることもあります。この際は、糸の状況等をよく観察してイカがルアーを捕らえた兆候を察知することと、海藻や障害物にルアーが引っ掛かからないように注意する事が必要です。
秋イカ釣り
9月頃から10月頃をピークとして、コロッケサイズ(400g以上)に成長した子イカを狙うシーズンです。子イカを狙うといっても、800g程度の大きさのイカが釣れたり、稀に1kgクラスのアオリイカが釣れたりもします。
春イカ釣りが大物を一発狙い的に釣ることに対し、秋イカは警戒心が少なく、小さなサイズのイカの数を多く釣ることが出来るというのが楽しみなんですが、私はあまりやりません。
最近はイカ釣り人口が増えたことと、漁師さん達の努力で産卵床の整備などが進められている現状(イカの漁獲量が減ってきている)を知っているからです。
実際、秋イカがたくさん数が釣れるということも最近はそんなにありませんので、過度な期待をするとがっかりしてしまう事にもなります。
かといってルール内でイカ釣りを楽しもうとしている方たちを非難するようなことは一切思っていません。私も基本やらないですが、気が向いたらやりますし(笑)
ちょっと補足すると、私が秋イカ釣りをあえてしなくなったのは「ヒイカ釣り」という釣りを知ったからなんです。体長数cmの小さなイカで、本来は一度に多く釣る仕掛けで釣るところをあえて細くて柔らかい竿で1匹づつ釣っています。
ヒイカ釣りは、7月~8月くらいの夏の釣りですので、この後にあえてアオリイカの子供を釣ろうという気にはならなくなりました。秋イカ釣りをするのは、800gクラスがコンスタントに釣れるという情報を得た時くらいです。
秋イカ釣りでは、できれば500g以下の子イカは資源保護の観点からリリースしていただくようにお願いはしたいですね。ただ、美味しいのであえてこのサイズを釣りたいという方の気持ちも分かりますし、お子様との釣行に適していることも理解します。
イカ釣りのマナー
地元釣り人や漁師さんとのコミュニケーションを
どこの釣場に置いても、地元の方や近くに住む常連さんが釣りを楽しんでいます。恥ずかしいかもしれませんが、先行者が釣りをしている時は必ずひとこと挨拶をしてから釣場へ入るようにしましょう。
挨拶をすることによって、釣果情報を頂けたり、困った時に助けてくださったりというコミュニケーションが当たり前のようになりますし、何よりも皆さん全員が気持ちよく釣りを楽しむための基本中の基本です。
危険な場所や釣り禁止エリアでの釣りは絶対にしない
イカ釣りに限らずのことですが、近年はエギングをやる人が増えたためか、危険な場所や釣り禁止エリアに立ち入って地元の方とのトラブルになるのは、残念ながらエギングをする釣人である事が目立ってきています。
そんな人は少数でも、きちんとやっているエギングの釣人も同じ目で見られるようになるとそれだけでトラブルの要因になってしまいます。
そもそも、釣りは一歩間違うと命の危険に晒されます。大人の趣味でもあるので、ルール内での適切な判断と準備のもと釣りを楽しみましょう。
救命胴衣の装着を
本来は漁港であろうが堤防であろうが救命胴衣の装着は絶対するべきでしょう。周囲に沢山人が居る漁港や堤防などではなかなか装着している人は見かけませんが、それは「私に何かあったら命をかけて助けて下さい。」と意思表示をしているようなものです。
ですからマナー冒頭にも書いたように、「挨拶」は最低限の基本ということだと私は思っています。
磯などに入る場合は完全に自己責任です。できれば単独行動は避けるとともに、必ず自分の身を守る装備を準備しましょう。何かあったら警察や海上保安庁、最悪は自衛隊の方にご迷惑をかけることにもなることを肝に命じる必要があります。
ヤエン釣りをやっている人の近くでのエギングは気配りを
ヤエン釣りは生きたアジを泳がせて釣る餌釣りで、アジがどこを泳いでいるかはアジ次第なんです。
そこにアジの位置を確認しないまま安易にルアーを投げると釣り糸が絡まったり、せっかく意図していたポイントへアジを上手く誘導していた釣り人の邪魔をしてしまうことにもなりかねません。
どうしてもヤエン釣りをしている方の近くでエギングをやりたい場合は、しっかりと挨拶をしてコミュニケーションを取り、どこを狙ってアジを泳がせているか、今どこにアジが居るかを確認し、自分が狙いたいポイント、ルアーを投げたい方向の了解をもらってからやりましょう。
それさえやっておけば、たとえ釣り糸が絡まっても笑って処理して続けられます。黙って勝手にやられるとそれだけでヤエン釣りの方は「イラッ」とするのは普通です。
まとめ
エギングは情報量が多く、初心者にも始めやすい釣りです。またファッション性やルアー釣りの要素など、プラスアルファの楽しみができる釣りでもありますが、それゆえに注意すべき点があることが記事の主体になってしまったように思います。
エギングを始めて長く楽しむためには、この記事に書いたことを理解していただければ、一生楽しめる釣りになりまた、イカ釣りから派生して色々な魚などの釣りを楽しむことが出来るでしょう。
- エギングは、釣りという要素の他にも楽しみ方がある釣り
- エギングは、釣りメーカーさんや釣具屋さんのPRにより、誰でも釣れる簡単な釣りのイメージが先行している。(普通に釣れるが恐らく想像しているほどは釣れない事を知るべき)
- エギングのやり方、必要な道具について
- エギングは他の釣りに比べて専門性がやや高い。(色々な釣りを考えている初心者が簡単に手を出すにはしっかりと情報を取る必要がある釣り。)
- マナーについて
- 挨拶が一番
- ヤエン釣りとの住み分けとトラブルにならない着意について
- 挨拶が一番
- 自分の身を守る装備について
- 救命胴衣の準備
- 挨拶の大切さ
最後に、エギングが上手な人は子供の頃からバス釣りをやっていた人達が多いです。見えていない水中のルアーの状態とイカの状態をイメージして釣り竿を操作することが上手なんですね。
私は不意にイカが掛かってびっくりしてしまう事が多く、これはこれで楽しいですが(笑)イメージ通りに釣り竿とルアーを操り、釣れた時の楽しさは実際にやってみて実感して下さい。