アオリイカのウキ釣りは特に難しいこともなく、セット品で売られているものを使えば初心者でも簡単にアオリイカ釣りを楽しめることを以前の記事で紹介しました。以前の記事でも「タナ」についても紹介していますが、今回の記事では次のような方のために、もう少し「タナ」に焦点を当てて説明します。
①ウキ釣り自体が初めてで、「タナ」という用語もよく解らない方
②「タナ」の調整なんて適当でOK…とは思えない方
③「ウキ止め」に不具合が起きた時の対処法を知りたい方
④アオリイカのウキ釣り仕掛けをオリジナルで組みたい方
⑤セット品の仕掛けではタナ調整の範囲が限定されてしまうため、もっと広い範囲でタナを調整したいと思っている方
特にセット品で買ったウキ釣り仕掛けの「ウキ止め」に不具合があった場合、ちょっとした知識と準備があれば簡単に処置できますが、この知識と準備がないと使っていた仕掛けが使い物にならず、せっかくの釣りが台無しになってしまう可能性もあります。
ぜひこの記事を最後まで読んで頂き、簡単なトラブルなんてチャッチャと自分で片付けて楽しく釣りを続けられるようにしましょう♪
「タナ(棚)」とは?
そもそも「タナ(棚)」って何?という方もおられるでしょう。釣り用語でのタナとは魚が居る水深のことで、タナを表す言葉としては次のようなものがあります。
- ヒロ(尋)
-
ウキ釣りで通常用いられている言い方で、ウキから仕掛けに付けた餌までの釣糸の長さをいう。1ヒロ(尋)とは、大人が両手を広げた指先間の距離を尺度にしていて、約1.5mと覚えておくとよい。
- 海面(水面)からの距離
-
魚群探知機と釣り糸が何m出たかを計測しているカウンター付の電動リールを使用した船での釣りでは普通に使用される。また、ウキ釣りなどでも水深が数mの浅い漁港などで使用されることがある。ヒロ(尋)と共通の表現で、「タナは6m」と言っていれば、「タナは4ヒロ」と同じことを言っていることになる。
- 海底(水底)からの距離
-
ウキ釣りや船での釣りで稀に使われることがあるが、海面(水面)からの距離と混同するため、使う場合は「底から〇〇m」というように「底から…」という言葉を前置きする。この表現は、通常海底(水底)を主に泳いでいる「底物」と言われる魚種を釣りの対象とした場合に使用されることがある。これは、海面からの距離を言ったほうが、距離が短いことから正確にタナの調整ができるからである。
さあ、上記のことを踏まえアオリイカのウキ釣りでの「タナ」と「タナ調整」の言い方を例えで言ってみます。
ここのアオリイカは、ほぼ底ベッタリかせいぜい底から2mだね。これから満潮に向かうからタナは深めの5ヒロ取っとくか。
解説すると、「ここのアオリイカはほぼ底ベッタリかせいぜい底から2mだね。」というのは一般論であり経験上からの推測ですね。「これから満潮になる~」は、その時の潮汐の例えですが満潮になるということは海面が上昇して水深が深くなる事を言っています。「タナは深めの5ヒロ取っとくか。」というのは、下記の前提条件があります。
- 現在の水深で餌のアジがほぼ海底付近になるように調整しておく。この時の水深が5ヒロ(約7.5m)程度であるのが目で見て判る。
- 潮位が上がってくると餌の位置は海底から離れてくる。その時の潮汐(大潮や小潮など)によって何m水深が深くなるかは違ってくる。
- 潮が満ちて海面が狙ったタナ(ここでは底から2m)以上に上昇するまでは狙ったタナに餌を位置させることができる。2m以上海面が上昇するのであれば、1~2ヒロづつを基準に再度タナを深くする調整が必要。
- 満潮を迎え、干潮に向かう時のタナの調整は、上記と逆の考えでウキ止めの位置を調整しないと狙ったタナに餌を保持できない、また仕掛けの一番下に付いている「掛け針」が底についてしまう。
- タナとはアオリイカ等の釣り対象魚がいると推測する水深
- タナは「ヒロ」でも「m(メーター)」でも表す。
- タナ調整とは、ウキから餌の位置までの仕掛けの釣り糸の長さであり、通常「ヒロ」で表す。
アオリイカのウキ釣りで注意が必要なのは、餌より下に「仕掛け針」があることも含めてタナを調整する必要があります。
アオリイカにおけるタナ調整の考え方
アオリイカのタナ調整を考える時にどのように考えるのかを説明します。まず1つ目のステップとして一般論で考え、2つ目のステップとして確実な情報で考えると良いでしょう。
- 春の産卵期の大型アオリイカは底狙い。タナ調整は海底からの距離で考える(上の方で例えで述べた要領)。これは、大きく成長したアオリイカは、特に日中は底の方でじっとしている傾向があるため。ただし夜間は居場所を大きく変える「回遊」を行うために泳ぐし、日中であっても活性が上がる条件(餌を活発に追う条件)が整えば泳ぎ回ることもある。
- 秋の新子と言われる小型のイカは中層狙い。アオリイカの新子は警戒心が薄く、活発に餌を追うために泳ぎ回る傾向がある。ただし近年は日本海の海水温が上昇傾向で産卵時期のタイミングがずれてきており、秋イカであっても比較的大型のアオリイカが釣れることがある。このような場合は底狙いも考える必要がある。
上記が事前の釣果などの何の情報もない場合の一般論ですが、釣りは様々な条件により釣れるか釣れないかが左右されます。このため「釣れている条件」に合わせることが重要であり、
- 先行者が釣れているようであれば、その釣れているタナを聞いて調整する。
- 先行者が主に狙っているタナで釣れていなければ、そのタナを外して調整する。
ここまで述べたことがタナ調整の考え方の基本的なことになります。
アオリイカのウキ釣りはタナを適当に調整し、放置しておいても釣れることはありますが、「イカとの駆け引き」「イカとの知恵比べ」が釣りの醍醐味であるのでタナはこまめに考えて調整することが釣果アップと長時間の楽しい釣りになるのは間違いありませんよ。
タナの調整方法
タナとタナ調整の考え方が解ったところで、ではどうやって調整するのかということですが、ここはサラッと説明します。
上の方の図にある「ウキ止め」と呼ばれるものを釣り糸に沿ってずらし位置を変えることで調整します。仕掛けを海に投げ込み釣っている状態では、ウキはウキ止めの位置で止まっているので、「ウキ下」と言われるウキから仕掛けの下端までの長さを調整するわけです。
ウキ止めの種類と特徴
「ウキ止め」は仕掛けの重要な一部分ではあり、要はウキが止まっていれば良いわけですが、「ウキ止め」にはいくつかの種類があります。大別すると、「ウキ止め糸」と「ウキ止めゴム」ということになりますが、使いやすさや仕掛けのトラブル対処、オリジナルの仕掛け作りなどに必要となるため、両方のことを知ってておくと良いでょう。
特にウキ止めは、仕掛けの構成品の中で一番早く劣化してしまう部品でもあり、特にウキ止めゴムは必ず劣化するので、アオリイカのウキ釣り仕掛けをセット品で購入した場合に、使い捨てないで何回も使い続けるためには必ず知っておくべき知識とも言えます。
ウキ止め糸
ウキ止めに使う専用の糸が売られています。道糸と言われるリールに巻いてある釣り糸に直接結んだり、仕掛けを構成している釣り糸に直接結ぶため、トラブル対処も容易です。結び方も簡単なので、覚えておくのが良いでしょう。
ウキ止めゴム
ウキ止めゴムは結ぶ必要がなく糸をゴムに通すだけで簡単ですが、反面、次のようなデメリットがあります。
- ゴムが擦れるとウキ止め効果がなくなってくる。(ウキ止め糸は締め治せる。)
- ウキ止めとしての効きが悪くなると、釣り糸を切ってからウキ止めゴムを通し直す必要がある。(ウキ止め糸は釣り糸を切らずに蒔き直しができる。)
最初は簡単で便利ですが、トラブルがあってからの処置はウキ止め糸に利点があると思います。実際の商品は次にリンクしてあるようなものが売られています。びっくりするほど高価な商品もありますが、費用対効果と信頼のあるメーカーということでは下の2つの商品をおすすめします。
タナ調整の必要がない場合のウキ止め方法
「俺はタナの調整なんて面倒臭いからしないよっ!」という方は、道糸(リールに巻いてある糸)と仕掛け部分の糸の間にスナップなどを付けておけば代用にはなります。もちろんオススメはしませんが、もしこの方法にする場合は、ローリングスイベル付きのものを使うのが良いでしょう。
下の商品リンクは画像でローリングスイベル付きのスナップを紹介するためだけにリンクしました。色々な種類があるので自分の好みや予算に合わせて探すのが一番ですが、面倒な方は下のリンクで購入しておけば間違いはありません。ちょっと値段が高めですが信頼性はあります。
数やサイズが多く入っていて、コストを追求するのであれば、次のような商品もおすすめです。私も購入しました(笑)
Amazonの商品リンクしか貼っていませんが、これは他のところではAmazonの倍の価格になっています。期間が限定かもしれませんので、送料等除きお札が2枚出るようであれば他の商品を探すことをおすすめします。
ウキ止め糸の結び方
記事の冒頭で、「特にセット品で買ったウキ釣り仕掛けの「ウキ止め」に不具合があった場合、ちょっとした知識と準備があれば簡単に処置できます」と説明しています。
ここで説明するウキ止め糸の結び方さえ知っておけば、仕掛けを分解することなくウキ止めのトラブルに対処できます。以下に誰でも簡単に理解できるように図で説明します。
①下図の黒のヒモを道糸、茶色の糸をウキ止め糸として説明します。ウキ止め糸は10cm程度に切って使用します。
②ウキ止め糸を折り返して道糸に重ねます。
③折り返したウキ止め糸を道糸に3回ほど巻きます。(下の写真は1回めを巻いた状態)
④ウキ止め糸の両端を道糸に沿う方向に引っ張って締め込みます。この際、締め込みすぎるとウキ止め糸が道糸に固定されてしまうので、ウキ止め糸が動く程度に適度に締め込むことが大切です。
⑤ウキ止め糸の余分な部分をカットして完成です。
少し上の方で紹介した「タナ調整の必要がない場合のウキ止め方法」に使用するスナップなどに糸を結ぶには、「クリンチノット」を覚えておけば大丈夫です。クリンチノットの結び方は下のリンクの記事中で紹介しているので必要な方は読んでみて下さい。
まとめ
アオリイカのウキ釣りでの「タナ」の事について、一般的なことからアオリイカ釣りでのタナの考え方、タナの調整要領、ウキ止めの事について紹介しました。
初心者や家族での釣りに向いているアオリイカのウキ釣りですが、ちょっと悩ましいタナ関連の事をこれだけ知っておけば万全です。安心してアオリイカのウキ釣りを楽しんで下さい!
記事中で紹介している商品は、たくさんある種類の中の一部です。ご自分のやり方や予算にあった物を選ばれるのが良いですよ。